発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243119
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75歳男性。冷蔵庫の運搬中に急激な左側腹部痛を呈した。腹部単純X線所見では立位像にて小腸の拡張とニボー像を認め、胸部単純X線所見では左下肺野の透過性は低下し、胸腔内の腸管ガス像を認めた。また胸腹部multidetector-row CT(MDCT)所見では冠状断像にて左腎外側に横隔膜欠損部が描出され、同部位から左胸腔内に脱出する腸管と多量の胸水を認めた。矢状断像では横隔膜欠損部は脾臓背側に描出された。以上より左横隔膜ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断し、緊急手術を施行した。上腹部正中切開で開腹すると、左横隔膜外側後方から胸腔内に脱出する空腸を認め、4×4cmの横隔膜欠損部が確認し、Bochdalek孔ヘルニアの診断であった。横隔膜欠損部を結節縫合した。術後経過は良好で、術後15病日に退院となった。現在まで再発は認められない。MDCTは矢状断像や冠状断像により脱出臓器や横隔膜欠損部など細部の描出に優れ、診断に有用であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007