発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338814
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71歳男性。新生児期にBochdalek孔ヘルニアと診断された既往があった。7年前より腸閉塞を発症し、胸部X線像とCTにてやや拡張した腸管が左胸腔に認められた。対症療法で腸閉塞は軽快したものの、その後の胸腹部CTと消化管造影にてヘルニア門は径6cmであり、ヘルニア内容は空腸以遠の小腸から下行結腸の途中までであることが判明した。一方、呼吸苦の出現がみられ、これが増悪したため呼吸器科へ受診となったが、特異な所見を有する左気胸と診断、入院となった。胸部X線像では左気胸、肺尖に癒着する気腫化肺、更に中肺野から尾側にピンポン玉が数個並んだような腸管・縦隔の右方偏位、右肺の圧排像が認められた。また、胸部CTにより多数の肺嚢胞と胸腔内背側にヘルニア内容である腸管が認められた。以上、これらの所見を踏まえ、治療として左鎖骨中線上第3肋間からドレーンを挿入したところ、挿入時に胸腔から空気の排出を認め、陰圧で持続吸引により気漏は数分で消失した。その結果、呼吸苦は軽快し、左上肺野の呼吸音も回復、同時にグル音も聴取された。尚、翌日の胸部X線像では気胸は軽快しており、患者は第6病日目にドレーンを抜去、退院となった。
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