発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243118
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2006年5月に行った胸部食道癌根治術の5例を対象として、動脈圧波形解析法を用いた低侵襲心拍出量測定装置であるフロートラックセンサー(FloTrac)とプリセップ中心静脈オキシメトリーカテーテル(PreSep)を組み合わせたビジレオモニターを周術期管理に応用した。FloTracは、外部較正を必要とせずに既存の動脈ラインからデータが連続的に得られ、即応性に優れていた。術後血圧低下を認めた症例ではstroke volume variation(SVV)の上昇が先行して確認され、とくにSVVが15-20%を超える場合では追加補液が必須であった。血管内血液量や前負荷への反応性の評価において、SVVは中心静脈圧より鋭敏であった。またPreSepは、通常の中心静脈ラインから中心静脈血酸素飽和度を監視できるため侵襲度が極めて低く、酸素供給と酸素消費の間のバランスの状態を連続的に見極めることが可能であり、失血状態にない場合の輸血の適応を決める上で1つの指標となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007