発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366080
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74歳男。横隔膜弛緩症、胃軸捻転症の診断で手術予定であったが、心窩部痛と嘔吐が出現し緊急入院となった。胸部単純X線で左横隔膜挙上、胃泡の拡大、心陰影の右方偏位を認め、胸腹部CTで心陰影の右方偏位、左胸腔内に拡張した胃を認めた。上部消化管造影では胃の拡張、臓器軸性軸捻を認めた。全身麻酔下に手術行い、腹腔鏡にて左横隔膜を観察し、漿膜越しに左肺を認め、Bochdalek孔ヘルニアと判断した。胸腔鏡を胸腔内に挿入し腹腔側より10気圧で気腹を行ったところ、横隔膜は欠損し第4肋間レベルまでヘルニア嚢である漿膜、胸膜が上昇した。自動縫合器にてヘルニア嚢を切除し、ポリプロピレンメッシュにてヘルニア門を閉鎖し、横隔膜を形成した。その後、腹腔内より胃底部を形成した横隔膜下部に固定した。術翌日より経口摂取を開始し、術後呼吸器症状はなく、上部消化管造影で胃の軸捻転は解消され、造影剤の流出も良好となった。術後1年3ヵ月経過し、特に症状はなく再発徴候もない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008