発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243120
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69歳男性。胃癌で胃全摘術を施行し、術後10年目に突然腹痛が出現した。腹部単純X線所見では小腸ガスを中等度認め、腹部造影CT所見ではWhirl signと小腸間膜の造影不良域、その中心に上腸間膜動脈を認めた。上腸間膜動脈ははっきりと描出されなかった。小腸軸捻転による絞扼性イレウスと診断し、発症5時間後に緊急開腹手術を施行した。開腹時、白色混濁しトリグリセリド高値の乳び腹水を約250ml確認した。胃全摘術後Roux-en Yで再建されており、Y脚およびその頭側を中心として腸間膜自体が反時計回りに約270°回転していた。小腸間膜は浮腫状になっており、腸間膜全体に乳びと思われる液体の貯留を認めた。小腸の捻転を解除すると、まもなく小腸漿膜面の虚血性変化が改善し腸蠕動も確認され、腹腔内洗浄とドレナージを施行し手術を終えた。経過は良好で術後第6病日より経口摂取を開始、ドレーンは術後約1週間で抜去し、術後第19病日に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007