発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007206123
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84歳女。主訴は発熱、嘔吐であり、腹部CTでは胃、十二指腸、上部小腸の拡張を認め、空腸での狭窄も疑われた。小腸造影を2回施行したが明らかな通過障害はなく、造影剤は結腸まで造影された。再度の腹部CTでは十二指腸の拡張が強くなり、beak(くちばし)状の狭窄像がみられた。イレウスチューブを留置し、腹部単純X線像ではチューブの先端がTreitz靱帯より約20cm肛門側の位置からすすまず、この部位での閉塞によるイレウスと推測した。イレウスチューブより1日500~1000mlの排液が持続し、内ヘルニアの診断で開腹手術を行った。全身麻酔下に上腹部正中切開で開腹し、Treitz靱帯より約20cm肛門側の空腸が横行結腸間膜の後鞘に背側より迷入、癒着しており、イレウスチューブの先端がここで止まっていた。癒着を剥離すると約5cmの長さの空腸が迷入していた。空腸の血行障害、壊死はなく、癒着剥離時に損傷した一部の漿膜を縫縮した。横行結腸間膜の欠損部を絹糸にて閉鎖した。第6術日より経口摂取を開始し、術後経過良好で退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007