発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007038509
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症例は56歳の男性で、腸閉塞にて入院し、精査により盲腸癌及び胆嚢ポリープと診断し、右半結腸切除術と胆嚢摘出術を施行した。病理組織診断は高分化型腺癌、2型、4×3cm大、深達度ss,n(-),ly1,v2,P0,H0,stage IIであり、胆嚢ポリープはコレステロールポリープであった。その後、抗癌薬内服にて経過観察していたところ、血清CEAとCA19-9の上昇を認め、腹部CTにて脾臓下極に約4.5cm大の孤立性脾腫瘍が指摘された。精査では明らかな肝転移やリンパ節転移を認めなかった。腹部SPIO造影MRIでは脾臓下極側に高信号を示す腫瘤を認めたが、肝臓には明らかな肝高信号を認めなかった。広範囲躯幹部拡散強調背景信号抑制法では脾臓下極に一致する部位に強い低信号を示す病変を認め、他の部位では明らかな異常信号を認めなかった。以上から、盲腸癌術後孤立性脾臓転移の診断で脾臓摘出術を施行した。手術所見では他に転移を認めなかった。肉眼的には境界明瞭な充実性腫瘍で、病理組織学的には盲腸癌に類似する高分化腺癌の像が認められた。術後経過は順調で、術後1ヵ月での腫瘍マーカーは正常値であった。術後6ヵ月を経過して再発所見を認めていない。本症例では全身検索と病巣の同定に広範囲躯幹部拡散強調背景信号抑制法が有用であった。
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