発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007038508
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症例は63歳の男性で、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し、経過良好で術後5日目に退院となった。退院翌日から右上~下腹部痛、背部痛を自覚したが経過観察していたところ、術後8日目に上腹部痛を伴う嘔吐が出現し、起立時に数分間続く突然の意識消失が出現し救急外来を受診し、諸検査にて異常はなかった。しかし、その後も同様の腹痛と背部痛がみられることから術後19日に精査目的で再入院となった。入院翌日に突然に冷汗を伴う上腹部から背部の激痛が出現し、顔面蒼白となり、意識混濁状態となった。造影腹部CTにて右肝動脈に接する液面形成を伴った偽性動脈瘤と大量の血性腹水を認めた。腹腔鏡下胆嚢摘出術による合併症として右肝動脈に偽性動脈瘤を形成し、これが破裂したものと考えた。血管造影にて右肝動脈胆嚢床付近に出血源を確認した。開腹による止血は困難と考え、血管造影下コイル塞栓術を施行した。右肝動脈末梢枝は側副路からの血流にて良好に造影された。処置後、背部痛などの自覚症状は速やかに軽快し、術後7日目から経口摂取を開始したが、腹痛の再燃はなく、処置後14日目のCTで偽性肝動脈瘤は消失し、腹水もほぼ消失し、外来での経過観察として退院となった。
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