発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006151910
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55歳,男.ふらつきを主訴とした.糖尿病の既往があった.近医の上部消化管内視鏡検査にて胃癌と診断された.当科紹介入院時,腹部は平坦・軟で心窩部に径10cm大の腫瘤を触知した.上部消化管造影,上部消化管内視鏡にて胃体上部小彎と胃体中部大彎に隆起性病変を認めた.生検にて前者は高分化型管状腺癌,後者は未分化癌であった.同時性重複胃癌の診断で胃全摘術を施行した.胃体上部小彎の病変は5.8×5.9cm大,3型,胃体中部大彎の病変は12.8×13cm,3型で漿膜面への露出を認めた.二つの病変は互いに独立して存在していた.病理組織学的に前者の病変は高分化型管状腺癌,深達度ssであった.後者の病変は円形から類円型の細胞質に乏しい小型細胞がびまん性に増殖しており,免疫組織学的にGrimelius染色およびクロモグラニンA陽性で胃小細胞癌,深達度seと診断した.また,胃小細胞癌によるn2リンパ節転移を認めた.術後は抗癌薬治療を継続したが,術後4ヵ月,多発性肝転移で原病死した
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