発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006151909
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
73歳,男.全身倦怠感,黒色便を主訴とした.入院時,貧血を認めた.上部消化管内視鏡にて胃体中部前壁および前庭部後壁に一部凝血塊が混じり,厚い白苔に覆われた不整な潰瘍性病変を認めた.生検にて悪性リンパ腫(B cell,diffuse type)と診断した.上部消化管造影にて胃体下部に不整な陰影欠損像,前庭部後壁に不整な潰瘍を呈する隆起性病変を認めた.腹部CTにて胃体部に10cm大の内腔に突出する腫瘤を認めた.腹部超音波にて胃の壁肥厚を認めた.cyclophosphamide,doxorubicin,vincristine,prednisoloneによるCHOP療法を施行したが,治療開始24日目に激しい心窩部痛を訴えた.腹部で筋性防御を呈し,胸部単純像,腹部CTにてfree air像を認めた.胃穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.胃体中部前壁に1cm大の穿孔を認めた.幽門側胃切除術を施行し,胃体部前壁に穿孔部を有する4×5cm大の潰瘍を,後壁に2.5×2.5cm大の周堤を形成した潰瘍性病変を認めた.病理組織学的に潰瘍部に壊死と線維芽細胞の増生を認め,異型リンパ球細胞は認めなかった.術後14日目にCHOP療法を施行し,術後1年5ヵ月の現在,再発の徴候はない
©Nankodo Co., Ltd., 2006