発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006151907
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41歳,女.上腹部皮下膿瘍切開部からの多量の無色透明の液体流出,発熱を主訴とした.急性薬物中毒による低酸素脳症のため入院し,遷延性意識障害,寝たきり状態となった.近医転院後に誤嚥性肺炎を生じ,左大腿静脈から経静脈性高カロリー輸液(IVH)カテーテルを挿入した.その後,左上腹部に発赤を伴う膨隆を認め,同部位を切開したところ多量の排膿を認めた.当科紹介入院時,腹部単純X線では左鼠径部より挿入されたIVHカテーテルは胸腰椎の左側を上行していた.腹部CTではカテーテル先端が左上腹部のパウチが装着された皮膚切開部に位置していた.先端部周囲の皮下は高吸収域を呈し,膿瘍形成を認めた.左大腿静脈から挿入されたIVHカテーテルが浅腹壁静脈に迷入し,腹部皮下を走行して先端部で皮下膿瘍を形成後,切開排膿部位から輸液が流出している状態と診断した.透視下にカテーテルを抜去し皮下膿瘍ドレナージを施行した.細菌培養はSerratia marcescens(++),Enterococcus faecalis(+++)であった.ドレナージ後10日目のチューブ造影にて膿瘍腔は認めずチューブを抜去した.瘻孔はドレナージ後20日目に閉鎖し前医に転院した
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