発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017135898
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53歳男。後頸部痛を主訴とした。35~40歳の間に腰背部、下腹部から鼠径部付近に鍼灸治療を受けており、左頸半棘筋膿瘍、縦隔炎を疑い原因検索を行ったところ、単純X線像、CTで多数の体内異物を指摘された。異物の特定目的で紹介受診し、頸部-骨盤部CT所見では骨盤部、腹部から両大腿部、心臓に多数の線状高吸収域を認め、左大腿部前面内側の浅筋膜上にある異物を摘出した。異物は長さ約2cm、太さ約1mmの鍼灸針で、培養検査は陰性であり、鍼灸針と左頸半棘筋膿瘍、縦隔炎の直接的な関連はないと考えられた。患者本人と相談し、その他の異物は摘出せずに経過観察の方針となったが、心臓の鍼灸針の迷入経路は経静脈的な経路と推察され、厳重な経過観察が必要と考えられた。
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