発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006093115
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59歳男.嚥下困難が出現した.胸部食道癌と診断され,右開胸開腹による食道亜全摘術,3領域郭清,胃管を用いた胸骨後経路による再建,気管切開術を施行した.術後4日目の夕方に多量の褐色の水様便を認めると同時に39.9℃の発熱が出現した.白血球,血小板の低下,貧血を認めた.動脈血液ガス検査で酸素分圧の低下を認めた.全身性炎症反応症候群の診断項目を4項目すべて満たした.便の性状から,MRSA腸炎による敗血症性ショックと診断した.循環動態の改善のため血液浄化療法を開始した.最初にエンドトキシン吸着療法を行い,次いで持続的血液濾過透析(CHDF)を行った.CHDF終了後は血行動態も安定した.しかし,術後6~7日目にかけて,急に酸素化能が悪化した.敗血症後の急性呼吸促迫症候群と診断しsivelestat sodium hydrate(エラスポール)の投与を開始した.投与開始後14日目に人工呼吸器より離脱した
©Nankodo Co., Ltd., 2006