発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006091343
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78歳女.発熱と失見当識を主訴とした.入院時,右鼠径部に腫脹と圧痛を認め,血液検査にて強い炎症所見を認めた.単純X線にて右股関節に関節症変化を認めた.また,単純CT,造影CT所見より右腸骨筋内に膿瘍液性を疑った.穿刺により少量の排膿を認め,膿,尿,静脈血よりKlebsiella pneumoniaeを検出した.入院後,敗血症ショック,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に至り,人工呼吸器管理となった.抗生物質,カテコラミンの投与を行い,エンドトキシン吸着療法を併用した結果,敗血症ショック,ARDSは改善した.入院16日後,右腸骨筋層内に多発していた小膿瘍の掻爬・洗浄,右股関節内の白色の粘稠物質の除去を行い,ドレーンを留置した.術後,症状は改善し,腸骨筋膿瘍は消失した.入院5ヵ月で退院し,発症後1年現在,右股関節の裂隙狭小化と大腿骨頭の圧潰の進行を認めるが炎症は再燃しておらず,杖,歩行器使用にて自立歩行している.なお,化膿性腸腰筋炎と化膿性股関節炎の合併症例の報告は稀である
©Nankodo Co., Ltd., 2005