発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006078609
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92歳女.右乳房CD領域に弾性軟の腫瘤を触知し,一部皮膚が欠損しており,漿液性の滲出液を認めた.リンパ節は触知しなかった.腫瘍マーカーは正常範囲で,滲出液の細胞診はclass IIであった.乳腺超音波検査では,右乳房CD領域に径5~6cm,境界明瞭,内部に多数のcystic areaを有するmassを認めた.胸部CTでは,右乳腺に6~7cm大の境界明瞭なmassを認めた.Dynamic studyでは腫瘍近縁の壁のみが造影され,壁の所々に小結節状の染まりがみられた.手術を行ったところ,腫瘍の胸筋への浸潤はなく,術中迅速病理診断で悪性所見を認めず,乳房部分切除(Bp)を行った.腫瘤は6.5×5.0×3.3cm大,境界明瞭,弾性軟であり,割面は血性様の内容を持っていた.嚢胞壁は線維性組織からなり,その一部に接着するように,あるいは壁内に乳頭状,篩状に増殖する腫瘍細胞を認めた.間質への浸潤はなく,noninvasive intracystic carcinomaと考えられた.一部,嚢胞壁外に乳管内進展像を認め,切除断端近傍まで癌細胞が及んでいた.本人および家族の希望により追加治療は行わず,術後1年8ヵ月経過現在,再発徴候はない
©Nankodo Co., Ltd., 2005