発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005090499
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56歳男.腹痛を主訴とした.腹部は著明に膨満し,左下腹部に圧痛を認めた.腹部単純X線で糞便を多量に認め,浣腸を施行した.その後から腹痛が増悪し,CTで中等量の腹水と腹腔内遊離ガス像を認め,腸管穿孔,穿孔性腹膜炎を疑って緊急手術を施行した.S状結腸の腸間膜対側に穿孔部位を認め,同部から約3cm肛門側に鶏卵大の腫瘤を触知した.大腸癌による穿孔性腹膜炎と診断し,穿孔部,腫瘤部を含めたS状結腸切除,D2リンパ郭清を施行した.腫瘍は全周性に及び,約5cmにわたって瀰漫浸潤型をきたしていた.病理組織所見では,細胞内の粘液により核が一側に圧排されたsignet-ring cellが密に増殖していた.深達度ss,stage IIIbであった.重篤な合併症はなく,術後29日から化学療法を開始した.軽快退院し,化学療法を継続していたが,術後7ヵ月後,癌性腹膜炎を発症して死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2005