発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005007515
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23歳男.右上腹部違和感を主訴とした.CTで肝下縁に14×9cm大の腫瘤を認め,また,膀胱近位に18×5cmの腫瘤を認めた.腹腔鏡では大網と肝曲部を中心に1~10cm大の腫瘍を多数認めた.腹腔鏡下で採取した生検材料では大小の胞巣がみられ,間質に膠原線維の増生が豊富に認められた.腫瘍細胞は小型の円形細胞で細胞質は少なく,核は粗いクロマチンを有していた.免疫染色においては上皮型・間葉型・神経原性マーカーに全て陽性であった.Intra-abdominal desmoplastic small round cell tumorと診断し,抗癌薬を用いた化学療法を開始,10コース行ったところ画像上の効果判定では有効であった.その後,更に化学療法7コースを行い,化学療法17コース終了後のCTでは,肝下縁の腫瘍は5.5×3cm,膀胱近位の腫瘍も7.5×3cmと明らかに縮小していた.化学療法17コース終了後,腫瘍結腸合併切除術を行った.切除後,2コースの化学療法を追加し,画像上,寛解となった.しかし4ヵ月の無病期間後,腫瘍は再発し初診より36ヵ月で死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2004