発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004197367
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78歳女.上腹部痛を主訴とした.入院時,腹部は平坦で上腹部に限局した圧痛,筋性防御を認め,腹部単純X線では右横隔膜下に腹腔内遊離ガス像を認めた.上部消化管穿孔による限局性腹膜炎と診断し,保存的治療を行い諸症状及び画像所見は改善した.上部消化管内視鏡所見では胃体下部前壁及び胃体中部後壁に粘膜集中を伴う陥凹性病変を認め,生検の結果,前者は低分化腺癌,後者は管状腺癌と診断された.以上より多発性胃癌と診断し,幽門側胃切除及び第2群までのリンパ節郭清を行い,更に胆嚢胆石症に対し胆嚢摘出術を追加した.病理診断は前壁の低分化腺癌ss,ly2,v1,aw(-),ow(-),後壁は管状腺癌(tub 1)sm,ly0,v0,aw(-),ow(-)の多発癌で,リンパ節転移は認めなかった.前壁病変の病理組織像では,漿膜下層への癌の浸潤を認めた.合併症なく経過し,現在,無再発生存中である
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