発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004145220
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70歳男.主訴は心窩部不快感.68歳時,腰部脊柱管狭窄症で手術した.上部内視鏡検査を施行し,胃潰瘍と十二指腸球部前下壁のびらんが認められた.2ヵ月後,内視鏡検査を再検すると,十二指腸球部前下壁の潰瘍性病変の辺縁は不整となってきていた.更に2ヵ月後に内視鏡検査を再検したところ,十二指腸球部の病変は肉眼的には2型の癌とみなされ,生検にて粘液産生が目立つ中分化腺癌と診断された.上部消化管透視所見で十二指腸球部に2.5cm大で周堤を伴った陥凹性病変が認められた.以上より,十二指腸球部の進行癌と診断し,手術を施行した.切除標本肉眼所見で十二指腸球部前壁に2.6×1.2cm大の2型の腫瘍が認められた.病理組織学所見で著しい粘液産生を示す癌細胞が漿膜下まで増生しており,粘液癌,深達度ssと診断された.リンパ節転移は認められなかった.術後経過は良好で,術後1年半の現在,再発の徴候なく,外来通院中である
©Nankodo Co., Ltd., 2003