発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004145219
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60歳男.主訴は陰嚢腫大,疼痛.左鼠径部から陰嚢の腫大と血圧低下,頻脈を認め,左鼠径ヘルニアの嵌頓とこれに伴うpre shockと診断された.左陰嚢が径15cm大に腫大,発赤しており,熱感はないが圧痛を伴っており,内容の還納は不能であった.画像所見より,消化管脱出を伴う左鼠径ヘルニア嵌頓であり,既往歴と凝固能が不良であること,非還納ではあるがCT像からは血流が保たれていると考えられたことから,凝固能の改善を待ち手術治療を行うことも考慮した.しかし,臨床症状,炎症反応の上昇,超音波パワードプラを含めた超音波検査上から消化管絞扼壊死の危険性が高いと判断し,発症約6時間後緊急手術を施行した.術後経過は,一時,喘息症状が続いたが次第に改善した.創部は腫脹を認めるも次第に改善し,術後30日目に退院した.現在,術後8ヵ月外来通院中である
©Nankodo Co., Ltd., 2003