発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003201002
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48歳男.右下腹部痛を主訴とした.腹部単純X線に特に異常なガス像は認められず,腹部超音波検査にて明らかな虫垂像は描出できなかったが,理学所見,血液生化学所見より急性虫垂炎を強く疑い緊急手術を施行した.右下腹部交差切開にて開腹し,右下腹部に半時計方向に2回転捻転し壊死を起こした径5cm扇形の大網を認め,結紮切離を行った.術後経過良好にて退院したが,退院後,腸回転異常症の存在を疑い注腸検査及びCT検査を行った.注腸検査にて結腸がすべて左腹部に偏在している所見が得られ,non-rotation typeの腸回転異常が存在すると考えられた.腹部CTでは,上腸間膜静脈(SMV)が上腸間膜動脈の真上を走行する中間型のSMV rotation signが認められた.本症例においてみられた腸回転異常と大網捻転症の合併は偶然のものと考えられたが,non-rotation typeの腸回転異常は横行結腸部分のたわみが大きく,大網捻転の発生率がいくぶんか高くなる可能性は考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003