発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004013580
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77歳女.1996年11月心窩部痛にて入院時,右腎門部近くに小腫瘤を指摘された.2000年10月,腹部不快感で腹部腫瘤を指摘され精査入院となった.大腸透視で横行結腸に後方よりの圧排像がみられ,超音波像では周囲組織と境界明瞭で内部が吹雪状のmixed patternを呈する所見がみられた.腹部CTで腸間膜の栄養血管が腫瘤により腹壁近くまで押し上げられ,後腹膜腫瘍が疑われた.腹部MRIで腫瘤はT1強調画像では等信号で内部はやや高信号,T2強調画像ではやや高信号で内部は強度の高信号を認めた.T1強調画像の矢状断,冠状断像では腹腔内を占める大きな腫瘤であることが分かった.以上の所見より,後腹膜腫瘍の診断で臍を中心の正中切開で開腹術を施行した.癒着は十二指腸水平脚の付近がもっとも強く,このあたりから発生したものと思われた.免疫組織化学的検討ではアクチンにのみ陽性で,デスミン,S-100蛋白は陰性であり,本例は平滑筋腫と診断された.術後18ヵ月再発は認めない
©Nankodo Co., Ltd., 2003