発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003026460
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63歳女.左下腹部有痛性腫瘤を主訴とした.腹部CTで左下腹部に腹腔内容の脱出を認め,外腹斜腱膜直下に嵌頓腸管を認めた.同部のSpigelian fasciaは菲薄化しており,連続性が失われていたことから,腸管の嵌頓した腹壁ヘルニアと診断した.開腹手術を施行し,菲薄化した内腹斜筋の直下に腹膜前脂肪織に覆われたヘルニア嚢を認めた.ヘルニア嚢を切開したところ,内容は小腸であった.脱出した小腸に損傷がないことを確認し,腹腔内に還納すると,嵌頓の解除によって腸管の色調は速やかに回復した.約3cmのヘルニア門をSpigel腱膜部に認めた.内腹斜腱膜を腹直筋後鞘と共に層々に縫合し,閉鎖した.術後経過は順調で,25ヵ月目の現在,再発の徴候は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2002