発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200986
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
80歳女。半年前から上腹部正中の膨隆に気付き、1週間前に腹痛および嘔気・嘔吐が生じた。近医でヘルニア嵌頓の診断で徒手整復を受けた後、手術目的に当科受診した。腹部CTで上腹部正中の腹壁内に、腹腔内から連続した脂肪組織の逸脱を認め、大網嵌頓を伴う白線ヘルニアと診断して腹腔鏡下手術を施行した。腹腔内の観察で大網嵌入を確認し、体外からヘルニア腫瘤を用手的に圧迫したところ、大網は腹腔内に還納した。次いで、膨隆部の左側に皮膚切開創を置き、腹直筋前鞘を横に切開し、さらに筋鉤で腹直筋を縦に分けて腹直筋後鞘を露出した。腹膜前壁に生理食塩水を注入して後鞘から腹膜を剥離した後、腹直筋後鞘を横切開し、腹腔鏡下に指示指で腹膜を剥離した。創からKugel Patch(8×12cm)を丸めて腹膜前腔に挿入し、腹膜の上に展開すると共に、移動防止のため吸収糸で3ヶ所を腹膜固定した。ヘルニア門の消失を確認して手術を終了し、術後経過良好で、上腹部膨隆は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010