発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004170429
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76歳女.体動時の臍の膨隆を主訴とした.近医を受診し,成人臍ヘルニアの診断された.初診時の腹部超音波検査で,大量の腹水貯留様所見を認めた.術前の種々な画像検査では原発巣の特定を含めた確定診断は困難であったが,腹膜偽粘液腫を最も疑い,開腹手術を施行した.腹腔内に約4000mlの黄色のゼラチン様物質が貯留しており,腸管壁・腸間膜・腹壁等広範に付着していた.回盲部で全容は明らかでなく切除不能であったが,巨大な腫瘤形成が認められ,原発巣と考えられた.完全除去は不可能であったが,可及的にゼラチン様物質を除去した.病理組織学的所見で,腹膜偽粘液腫と確定診断したが,ゼラチン様物質は粘液成分が主体で,上皮細胞はわずかしか認められなかった.術後約2年を経過し,上腹腔内に物質の再貯留を認めているが,全身状態は良好である.臍腫瘤によって発見された腹膜偽粘液腫の報告は,検索した限り,自験例が2例目である
©Nankodo Co., Ltd., 2004