発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003026458
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49歳男.大網捻転症は比較的稀な疾患で特異症状に乏しい為,術前の診断が極めて困難であるが,術前診断が可能であったので報告した.右下腹部不快感を主訴としており6年前,開腹下胆嚢摘出術を施行し,5年前から右鼠径ヘルニアを指摘されていたが放置していた.右鼠径部に鼠径ヘルニア嵌頓によると思われる手拳大の膨隆を認めたが,腹腔内への用手的還納は不可能であった.超音波所見,画像所見により,右鼠径ヘルニア嵌頓とそれに伴う続発性の大網捻転症と診断し,緊急手術を施行した.遠位側の固定部であるヘルニア嵌頓を解除し,術中に大網を観察した際,壊死所見を認めなかったので,開腹による大網切除を行わなかった.術後は,大網壊死を示唆する徴候が出現しないか,厳重に観察した.経過中,特に発熱や腹膜刺激症状等は認めなかったが,CTも併用して慎重に管理を行い,開腹術を回避できた.術後14日の外来での腹部CTでは,大網の浮腫は軽快していた
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