発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002229667
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症例は寝たきりの82歳女性で,急速に増大する右乳房腫瘤と,疼痛を主訴とした.右乳房AB領域に径10cm大の腫瘤を認め,乳頭は外側に圧排されていた.超音波では多胞性嚢胞と嚢胞内腔に突出する乳頭状腫瘤を認めた.穿刺吸引では100ml以上の新鮮な血液成分の貯留を確認した.嚢胞内容は穿刺吸引2日後には再貯留し,貧血が進行した.細胞診の標本中には異型細胞からなる多数の乳頭状細胞集塊がみられ,乳癌class Vと判定し,単純乳房切断術を行った.摘出標本の嚢胞内腫瘤中央には明らかな出血巣を認めた.また,癌細胞は10×8×5cmの大型病変であり,乳頭状増殖と,嚢胞内腔面を被覆し,一部では嚢胞内腫瘤を形成していた.嚢胞周囲の導管内にも同様の癌細胞の進展を認め,非浸潤性乳管癌と診断した.術後経過は良好であったが,5ヵ月後に肺炎のため死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2002