発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017326387
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53歳女性。動悸症状が頻回となり、心エコーで心室中隔欠損症、心房中隔欠損症と診断、胸骨部分正中切開にて心内修復術が施行された。術中、ヘパリンを19000単位投与し、上行大動脈に送血管を挿入したが、投与2分後のACT値は107秒と延長がみられなかった。そのためヘパリン製造ロットを変え、合計15000単位を追加投与するも、ACT値は140秒までしか延長せず、ヘパリン抵抗性と判断した。そこで更にantithrombin III(AT-III)を1500単位を追加投与したが、ACT値は156秒で、人工心肺を安全に使用できる値でないことから手術は中止となった。本症例では術後1週間目にin vivoでのヘパリン活性の調査が行われたが、結果としてin vivoではヘパリンの反応は開心術を安全に行える値であった。このとから、原因としては手術侵襲によるもので、一過性であった可能性が考えられた。
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