発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017239794
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77歳男性。健診の胸部X線像で心拡大、肺うっ血と胸水貯留を指摘後、循環器内科へ受診、心エコー検査で左室壁運動異常と左室駆出率低下を認め、虚血性心筋炎の診断で入院となった。薬物療法により状態は改善したが、CAG検査では左冠状動脈主幹部病変を含む3枝病変があり、CABG適応と判断し、心臓血管外科へ紹介となった。術前CTでは上行大動脈-弓部大動脈-下行大動脈に著明な石灰化病変を認め、頸動脈エコーでは両側とも総頸動脈-内頸動脈の高度狭窄病変を認めた。手術所見では、上行大動脈に石灰化病変および粥腫による璧不正がびまん性に存在していたため、個別に2本のSVを吻合するスペースがないと判断し、2本のSVを用いて左回旋枝領域へのSVの方向と右冠状動脈へのSVの方向をイメージしながら上行大動脈への中枢側吻合口とSV同士の吻合口が重なる位置になるようにV-コンポジットグラフトを作成した。そして、Heartstringを用いて病変部を避けて上行大動脈へ吻合した。術後経過は良好で、患者は14日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016