発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339100
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症例は70歳女性で、前胸部痛で近医に虚血性心疾患を疑われ紹介受診した。心エコーで上行大動脈に偽腔像を認め、CTで偽腔血栓閉塞型のDeBakey II型急性大動脈解離と判明し、入院とした。入院2日目に胸背部痛が出現し、CTで再乖離を認め手術を行った。上行大動脈内腔背側に亀裂を認め、BioGlueで大動脈断端の偽腔を固着させ、はみ出した分を除去後に大動脈壁内外に帯状フェルトを固定して断端を形成し、人工血管を縫着して上行大動脈人工血管置換術を行った。術後5日目の心電図ではV2~V6で陰性T波を認め、心エコーでは左室心尖部が無収縮となり、造影CTで左前下行枝に高度狭窄を認め、冠状動脈造影の血管内エコーで塞栓物が血栓や粥腫ではなく、内部エコーが均一で人工物と思われ、狭窄部位に薬剤溶出性ステントを留置した。偽腔内に充填したBioGlueの破片と考え、in vitroでの所見と一致した。術後23日目に退院し、現在日常生活に支障なく経過している。
©Nankodo Co., Ltd., 2016