発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017239795
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59歳男性。咳嗽・喀痰が出現し、職場健診で右下葉の浸潤影を指摘され、受診となった。胸部単純X線では右下肺野の心陰影に対し、シルエットサイン陽性の浸潤影を認めた。胸部造影CTでは右下葉気管支入り口部を12×12mmの腫瘍が閉塞し、右下葉は完全虚脱しており、閉塞性肺炎を伴っていた。また、気管支鏡では右下葉支入口部は表面が顆粒状に増生した腫瘍で充填され、中葉支入口部は下葉気管支腫瘍により圧排性にスリット状の狭窄をきたしていた。過誤腫や乳頭腫などの良性腫瘍が強く疑われたが、悪性腫瘍も否定できず、診断兼治療目的で肺葉切除を施行した。切除標本の病理組織所見では腫瘍は右下葉気管支を閉塞するように存在しており、腫瘍表面は気管支上皮で覆われ、内部は軟骨組織と脂肪組織により構成されていた。いずれも核の異型はみられず、気管支原発過誤腫と診断された。術後14日目に退院となり、現在は外来にて経過観察中である。
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