発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339101
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症例は66歳女性で、突然の呼吸苦で近医のX線にて心拡大、胸水貯留を認め、心不全の診断で紹介入院した。X線で心胸郭比65%、両側肺血管陰影増強と胸水貯留を、心電図で心房細動を認めた。心エコーで右房内に中隔尖弁輪部から起始する腫瘍を認め、三尖弁狭窄を呈しており、心不全改善後に手術を行った。腫瘍は中隔尖と高度癒着を伴う75×55mm大の黄白色で、腫瘍、心房中隔と中隔尖弁輪の一部を切除し、欠損孔はウマ心膜パッチで縫合閉鎖した。右室筋は右室心内膜と右房壁を寄せる形で弁輪を再建し、Carpentier Edwards Perimount Magna Mitral EASE 31mmを縫着した。三尖弁前尖は退縮し弁置換術を行った。弁輪再建、弁置換時に房室結節を縫い込んだ可能性から左室前壁に恒久心外膜ペーシングリードを縫着した。腫瘍は心臓粘液腫であった。術後3日目にペースメーカ植込み術を行い、術後29日目に退院した。術後9ヵ月で再発なく、人工弁機能にも問題はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016