臨床経験
完全内臓逆位に合併した原発性肺癌に対する内視鏡下区域切除
懸川 誠一
1
,
川島 修
,
富澤 由雄
,
菅野 雅之
,
清水 公裕
1国立病院機構西群馬病院
キーワード:
胸腔鏡法
,
胸部X線診断
,
腺癌
,
内臓逆位症
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
三次元イメージング
,
胸部CT
Keyword:
Adenocarcinoma
,
Lung Neoplasms
,
Pneumonectomy
,
Situs Inversus
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracoscopy
,
Imaging, Three-Dimensional
pp.521-524
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339094
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症例は83歳男性で、完全内臓逆位、高度肺気腫、72歳時に閉塞性動脈硬化症でステント挿入の既往があった。肺気腫で通院中にCTで左上葉の腫瘤を指摘され紹介受診した。経気管支肺生検で肺腺癌、病期IAと診断され手術目的に入院となった。呼吸機能検査で閉塞性換気障害を認め、心電図で右胸心を認めた。X線で内臓逆位、心陰影拡大、左中肺野に2cm弱の不整形結節を認め、CTで右肺が2分葉、左肺が3分葉で、左上葉末梢に気管支の集束、棘状突起を伴う結節、高度の気腫性変化を認めた。内視鏡下左上葉(B3)区域切除を行った。上肺静脈根部を剥離し、各血管を結紮切離し、S2側の切離線が腫瘍に近かったため、肺実質を自動縫合器で追加切離した。郭清は肺門リンパ節のサンプリングのみとした。迅速病理で肺切除断端とリンパ節の陰性を確認し、病理診断は低分化腺癌、病期はIA期であった。術後経過は良好で、膝関節のリハビリ後の術後23日目に退院した。
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