臨床経験
カバー付きステントが奏効した食道損傷
上村 豪
1
,
青木 雅也
,
中村 好宏
,
末永 豊邦
,
佐藤 雅美
1南風病院 一般外科・消化器外科
キーワード:
胸腔鏡法
,
術後合併症
,
食道鏡法
,
食道狭窄
,
食道疾患
,
食道腫瘍
,
ステント
,
バルーン拡張法
,
破裂
,
胸腔ドレナージ
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
,
胸部CT
Keyword:
Endoscopic Mucosal Resection
,
Esophageal Diseases
,
Esophageal Neoplasms
,
Esophageal Stenosis
,
Esophagoscopy
,
Postoperative Complications
,
Rupture
,
Thoracoscopy
,
Stents
pp.525-527
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339095
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症例は70歳男性で、下部食道の全周性表在癌に対し、内視鏡的粘膜下層剥離術を行い、狭窄防止に潰瘍底にステロイドを局所注射した。病理診断は扁平上皮癌であった。今回、術後狭窄のための3回目のバルーン拡張術を行ったが、出血・胸痛を認め、食道破裂疑いで入院した。CTで食道後壁側に縦隔気腫を認め、保存的治療を行ったが、1週間後のCTで縦隔内液体貯留を認め、下行大動脈周囲に膿瘍形成、左胸腔内に膿胸が疑われ、血液検査で炎症反応高値から手術の方針とした。胸腔鏡下に膿胸腔を掻爬し、下行大動脈に沿って膿瘍腔を開放したが、広範な膿瘍と白苔付着で損傷部位・範囲を評価できず、外科的食道修復は不可能でドレナージのみで終了した。術翌日に透視下での内視鏡で食道壁全層の裂傷を確認し、Niti-S Esophageal Stentを破裂部位に留置した。留置後造影で縦隔内への漏れは認めず、経口摂取可能となり、胸腔内洗浄で膿胸は改善し、左肺の伸展も良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016