発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007228156
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72歳男性。息切れを主訴とした。胸部X線所見にて右胸水を認めた。胸水検査所見にて淡血性、滲出性の胸水で、CEAが著明上昇していた。細胞診では肺癌細胞陽性(腺癌)であった。胸部CT所見では肺実質内に明らかな病変は認めず、びまん性胸膜肥厚を認め、悪性胸膜中皮腫が強く疑われた。確定診断のため、胸腔鏡下胸膜生検術を施行した。術中所見にて肺全体の臓側胸膜にびまん性に白斑状の腫瘍を、壁側胸膜には凹凸状の不整な腫瘍を認め、肺実質内には原発巣と思われる腫瘍は確認できなかった。壁側胸膜を3×3cmの範囲で生検した。免疫染色にてCEA(+)、calretinin(-)、thrombomodulin(-)、pulmonary surfactant apoprotein(-)で、肺腺癌の診断であった。全身検索にてその他腫瘍性病変は認めず、肺腺癌cT4N0M0(stage IV)の診断で、全身化学療法中である。このような症例に対しては、早期に胸腔鏡下胸膜生検を行う必要がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2007