臨床経験
Transmanubrial approachにより摘出した左上縦隔神経鞘腫
新垣 雅人
1
,
飯村 泰昭
,
佐藤 暢人
,
福田 直也
,
宮崎 大
,
梅本 一史
,
吉田 雄亮
,
長谷川 直人
1北海道大学 循環器・呼吸器外科
キーワード:
開胸術
,
胸部X線診断
,
縦隔腫瘍
,
神経鞘腫
,
MRA
,
胸部CT
Keyword:
Mediastinal Neoplasms
,
Neurilemmoma
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracotomy
,
Magnetic Resonance Angiography
pp.760-763
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016323940
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左上縦隔神経鞘腫の摘出術にTransmanubrial approach法(以下TA)を用いた症例(67歳女)を報告した。TAは、前方アプローチと鎖骨上窩アプローチを組み合わせた方法であり、胸骨柄をL字型に切離し、さらに第1肋骨を胸骨側で切離する。このため、第1肋骨の胸骨側、胸骨柄、鎖が一体となったosteomuscular flapの挙上が可能で鎖骨下腔を広く展開でき、鎖骨下動静脈、腕頭静脈、腕神経など重要な血管・神経を良好な視野のもとで剥離・温存可能である。今回の症例にTAを選択した理由は、胸腔頂から大動脈弓に達する7cm大の腫瘍であったことと、上縦隔の重要血管と接して存在し、特に左椎骨動脈の確実な剥離温存が必須であったことである。当初は、尾側への進展の程度により追加で胸骨切開や肋骨の追加切離も検討していたが、実際には必要なく摘出可能であった。
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