発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087090
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症例は51歳男性で、慢性腎不全で血液透析を受けていた。咳嗽と発熱が出現し、内服治療を受けたが改善せず、X線で右胸腔内に大量の胸水貯留を認めて胸腔ドレナージを受け、血性胸水800mlが排出され、精査加療目的で紹介受診した。X線で右胸水貯留を、造影CTで胸水貯留と胸膜肥厚、後縦隔に30mmの腫瘤影を認め、MRIで腫瘤影はT1強調で低信号、T2強調で一部高信号となる内部構造の不均一な嚢胞性腫瘍と判明し、血性胸水を併発した後縦隔腫瘍と診断し手術を行った。腫瘍は奇静脈の頭側に存在し、境界は明瞭、表面は平滑で容易に摘出できた。迷走神経から発生した腫瘍と考えられ、迅速病理で神経鞘腫と診断された。病理所見では紡錘形細胞が束状に交錯して増殖し、核の柵状配列を認めて神経鞘腫と診断された。術後経過は良好で、血液透析を行いながら観察し、術後25日目に退院した。その後再発や胸水貯留は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015