発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004289049
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20歳女.主訴は前胸部痛(背部,両肩,両頸部,両顎関節部にまで放散).胸部X線像では,左第2弓に軽度の拡大が認められた.入院後,急激な炎症所見の進行が認められ,腫瘍の二次感染や反応性の炎症が進行している可能性を考慮してcefotian hydrochlorideを開始した.胸部CTでは,両側胸水の貯留と共に前縦隔に6×4cmの境界不明瞭な嚢胞性,充実性の成分をもつ不均一な腫瘤を認めた.その後,夜に吐き気を伴った上腹部痛と腹部膨満感が顕著になり,胸部X線像上心胸郭比(CTR)拡大及び両側胸水が増大した.CTでは多量の心嚢液の貯留と両側胸水の増大,更に肝臓が著明に腫大しており,下大静脈及び門脈の拡張も認められた.エコーも施行し,緊急に処置を要する心タンポナーデとうっ血肝と診断され,心嚢液ドレナージ及び腫瘍摘出を同時に行った.術後経過は良好で,第16病日に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2004