発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012318856
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症例は41歳男性で、高尿酸血症で内服加療中であった。嚥下困難感で近医の上部消化管透視検査にて食道壁外の圧迫を指摘され、MRIで中縦隔腫瘍を認め紹介受診した。末梢血、生化学検査で異常なく、腫瘍マーカーも正常であった。X線では明らかな異常陰影は認めず、CTで気管支分岐下に34×25×36mmの境界明瞭な充実性腫瘤を認め、内部はリング状に造影され、食道の強い圧排が認められた。MRIでは気管支分岐下に楕円形の充実性腫瘤を認め、T2強調で辺縁高信号、中心が低信号のtarget appearanceを呈していた。組織診断・治療目的で手術を行った。腫瘍は迷走神経枝より発生を確認して摘出した。術中迅速病理で神経鞘腫と診断された。病理所見では、紡錘形細胞が密に増殖した部分に核の棚状配列を認め、紡錘形や多角形細胞が疎に増殖した部分からなり、核部裂像などの悪性所見は認めなかった。術後経過は良好で、嚥下困難感は消失し、現在外来通院中である。
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