臨床経験
気胸に対するドレーン挿入部位に発生した皮下結節で発見された肺癌
岡本 純平
1
,
松本 勲
,
斎藤 大輔
,
吉田 周平
,
高田 宗尚
,
田村 昌也
,
竹村 博文
,
池田 博子
1金沢大学 先進総合外科
キーワード:
気胸
,
胸部X線診断
,
リンパ行性転移
,
腺癌
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
皮膚腫瘍
,
アジュバント化学療法
,
Tegafur-Uracil
,
胸腔ドレナージ
,
陽電子放射型断層撮影
,
胸部CT
Keyword:
Adenocarcinoma
,
Lung Neoplasms
,
Lymphatic Metastasis
,
Pneumothorax
,
Pneumonectomy
,
Radiography, Thoracic
,
Skin Neoplasms
,
Chemotherapy, Adjuvant
,
Positron-Emission Tomography
pp.755-759
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016323939
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43歳男。右胸痛を主訴に前医受診し、右自然気胸と診断され、胸腔ドレナージを施行された。気漏が持続するため、発症6日目に胸膜癒着術を施行され、気胸は改善、9日目に胸腔ドレーンを抜去され退院となった。6ヵ月後、ドレーン挿入部に一致して皮下結節を触知するようになり、精査加療目的で当科に紹介された。結節は触診上、径2cm大で可動性良好、弾性硬であった。胸部X線で右中肺野に径3.5cmの腫瘤影を認めた。胸部CTで背景肺は気腫性変化をきたしており、最大9.8cmの肺嚢胞が両側肺上葉を中心に多発していた。また、胸腔ドレーン挿入部に一致して長径2.2cmの皮下結節を認めた。このほか、右肺門リンパ節の腫大を認めた。FDG-PETで、右肺上葉の嚢胞壁、右肺門リンパ節、右胸部皮下にFDGの異常集積を認め、他の部位に異常集積は認めなかった。右胸部皮下結節の確定診断目的に局所麻酔下で結節を切除し、病理組織学的に中分化腺癌と診断された。右肺上葉の病変については原発性肺癌が強く示唆される画像所見であり、肺以外に病変がないことから、原発性肺腺癌の皮下転移、またはドレナージの際の癌細胞の移植を疑った。気管支鏡検査を施行したが診断はつかず、喀痰細胞診で腺癌と診断され、患者の希望で手術を行い、病理組織学的に低分化腺癌と診断された。
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