発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008256273
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心拍動下冠状動脈バイパス術(OPCAB)における右冠状動脈領域のグラフトとして胃大網動脈(GEA)を用いる際に、その長さを適切に決定する方法を考案した。術中、心臓を頭側へ少し脱転し、心後下壁の吻合予定の冠状動脈を横隔膜に投影するようにスケッチする。マーキングにはskin markerあるいは低出力の電気メスを用いる。次に横隔膜に小切開を加えるが、スケッチした冠状動脈の吻合予定部位へGEAがなるべく直線的となる場所に行う。GEAを小切開に通し、スケッチを参考にグラフトを適切な長さと方向で吻合する。本法を22例25吻合に施行し、後下行枝18吻合、房室結節枝4吻合、後側壁枝3吻合であった。全例OPCABを完遂でき、合併症として創感染を1例認めたが、死亡例はなかった。術後冠状動脈造影による評価で、22吻合が良好に開存しており、flow competitionが2吻合、閉塞1吻合であった。GEAグラフトはすべて屈曲や蛇行なく最短距離で吻合されていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008