発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236396
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橈骨動脈(RA)をグラフトとして使用した冠状動脈バイパス術157例(男113例・女44例・平均67歳)を対象に、カテーテルで使用した側のRAの性状と、術後3ヵ月の冠動脈造影(CAG)によるグラフト開存率を検討した。使用したグラフト本数は平均2.5本で、再建枝数は3.4本、左RAは86本、右RAが130本であった。カテーテル使用側RAを採取したのは157例中93例で、術中肉眼所見によりRAの性状を不良と判定したのは25例であった。21例はカテーテル刺入部に限局した硬化であったため、硬化巣を5~10mm切断して使用可能であった。他の4例はRA全長にわたる解離や血栓を認め、使用不能であった。使用不能例はいずれもPCIあるいは複数回のCAGを経験していた。カテーテル未使用側のRAは全例良好であった。開存率は、カテーテル使用側のRAが96.3%、未使用側が97.5%と有意差はなかった。閉塞していたのはいずれも狭窄度の比較的軽度な回旋枝および右冠状動脈領域へのグラフトであった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008