発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016150845
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82歳男。食後の上腹部痛と黒色便を主訴に、近医の上部消化管内視鏡検査にて進行胃癌4型を指摘され、手術目的に当科紹介となった。術前検査より、幽門下リンパ節転移を伴う進行胃癌と診断し、胃全摘術および脾温存D2(+14v)-10郭清を行う予定とした。本例は右胃大網動脈を用いた冠状動脈バイパス術後に発症した進行胃癌であり、根治性確保のためにRGEAグラフト切離は必須であった。術前検査でグラフトは良好に開存していたものの、術中のRGEAグラフト遮断時に心電図上ST低下を認めたことから、RGEAは心筋血流維持に寄与していると考え、RGEAグラフトをいったん切離後、脾動脈への再吻合を行った。術後経過は良好で第8病日に退院した。病理組織学的診断は低分化型腺癌(病期IIIC期)で、現在tegafur-gimeracil-oteracil合剤内服による補助化学療法中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016