手術症例報告
噴門側胃切除後の残胃血流温存を目的とした血行再建を伴う膵頭十二指腸切除の1例
黒田 慎太郎
1
,
小林 剛
,
石山 宏平
,
井手 健太郎
,
大平 真裕
,
大段 秀樹
1広島大学 大学院医歯薬保健学研究院応用生命化学部門消化器・移植外科学
キーワード:
胃腫瘍
,
胃切除
,
局所血流
,
血管外科
,
膵臓腫瘍
,
膵頭十二指腸切除
,
腺癌
,
腹腔動脈
,
噴門
,
腫瘍-第二原発
,
胃大網動脈
,
臓器温存療法
Keyword:
Adenocarcinoma
,
Cardia
,
Celiac Artery
,
Gastrectomy
,
Regional Blood Flow
,
Pancreatic Neoplasms
,
Stomach Neoplasms
,
Vascular Surgical Procedures
,
Neoplasms, Second Primary
,
Pancreaticoduodenectomy
,
Gastroepiploic Artery
,
Organ Sparing Treatments
pp.319-325
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.18888/J00620.2017255963
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症例は68歳男性で、胃癌に対して噴門側胃切除を施行、前立腺癌に対して前立腺全摘を施行した。また、B型慢性肝炎に対して抗ウイルス薬を内服で、糖尿病に対して内服加療中であった。術後1年目の画像診断で膵頭部に腫瘍を指摘され、膵癌の診断で入院した。腹部造影CTで、膵頭部に25mm大の腫瘍を認め、腫瘍は腹側で胃十二指腸動脈と接していた。リンパ節・遠隔転移は認めなかった。内視鏡的逆行性胆道膵管造影では腫瘍部に一致して膵管の狭小化を認め、超音波内視鏡では膵頭部に同様に低エコー領域を認めた。噴門側胃切除後の膵頭部癌の診断で手術適応とした。血行再建により噴門側胃切除後残胃を温存した膵頭十二指腸切除を選択した。術後経過は順調で、膵液瘻も認めなかった。温存した残胃は良好に機能し、食事もほぼ全量摂取し、ダンピング症候群や下痢、体重減少なども認めなかった。術後17日目に軽快退院した。外来通院で補助化学療法を行い、術後約1年無再発中である。
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