発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263647
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症例1(56歳男性)。右肩と右背部痛を認め受診、慢性胆嚢炎と診断され、手術目的で入院となった。腹部造影CTでは肝外側区の腹側を走行する右胃大網動脈(RGEA)グラフトが確認され、腹腔鏡下手術が施行された。その際、第1トロッカーは臍下10mmポートopen法で挿入、腹腔鏡は30°斜視鏡を使用し、臍上および右肋骨弓にKirschner鋼線による腹壁下の吊り下げが行われた。一方、正中上腹部5mmトロッカーは腹腔鏡でグラフトの走行を確認しながら慎重に挿入し、合計4ポートの留置で手術が行われた。症例2(69歳男性)。心窩部痛の自覚から内科へ受診、胆石性膵炎の診断にて内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBP)と抗生剤による保存的加療にて炎症データの改善後、手術目的で入院となった。腹部造影CTでは腹部のほぼ正中部で肝外側区の腹側にRGEAグラフトが確認され、手術は症例1と同様に行われた。尚、症例2では胆石膵炎を伴う急性胆嚢炎の保存的加療後、胆嚢周囲の癒着は軽度あり、吊り下げ操作や手術操作に伴うRGEAグラフト灌流域のST-S変化を含めた不整脈は認めず、循環動態は安定していた。いずれの症例もRGEAグラフトが胆摘術の視野の妨げにはならず、手術が可能であった。
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