発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016402996
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症例1(62歳男性)。人間ドックにて右肺S9にpart-solid noduleを認め、呼吸器外科へ紹介となった。肺機能検査では肺活量(VC)は3240ml(100%)、努力性肺活量(FVC)は3090ml(95%)、1秒量(FEV1.0)は2220ml(95%)であった。また、胸部CTでは右肺S9a、胸膜直下に10×8mmのpart-solid noduleが認められたほか、肺尖に空洞が認められたが、肺門・縦隔にリンパ節腫大はなかった。以上から、開胸右肺S9+10区域切除+リンパ節郭清を施行した。病理所見は混合型腺癌、病理病期IAであったが、術後3年目に肺尖の胸膜肥厚を認め、徐々にこれが進行、嚢胞の拡大および隣接する浸潤影の増大も認められた。術後7年目には呼吸器内科で慢性進行性アスペルギルス症(CPPA)と診断され、抗真菌薬での加療が行われたが、副作用で継続できず、最終的に呼吸状態が徐々に悪化し、手術から8年目に死亡となった。症例2(64歳男性)。人間ドックにて左肺上葉に薄壁空洞を有する結節影を認め、呼吸器外科へ紹介となった。受診時、肺機能検査ではVCは4140ml(113%)、FVCは4180ml(114%)、FEVは1.0 2680ml(88%)であった。また、CTでは左肺上葉S3bに44×32mmの空洞を伴う腫瘤影がみられたが、肺門・縦隔リンパ節の腫大はなかった。以上から、胸腔鏡下左肺上葉切除術+リンパ節郭清を施行したところ、病理組織学的に混合型腺腫で、病理病期はIA期であった。術後6年目にCPPAを発症し、抗菌薬で加療中である。
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