発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016152983
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50歳男。血痰・喀血を主訴とした。既往歴および精査結果より、胸膜部外傷後の膵損傷によるI型糖尿病を背景として発症した慢性空洞性肺アスペルギルス症と診断し、内科的治療を開始するも肝機能障害が出現したため、外科的治療を行う方針とした。病変部が広く胸壁に接し、剥離に際して相当量の出血が予測されたため、まず、術前にN-butyl-2 cyanoacrylateを用いた肋間動脈塞栓術を行い、次いで左上葉切除術・肋間筋/広背筋弁充填術を施行した。術後はfungin sodiumの投与を開始し、術後第3病日に胸腔ドレーンを抜去した。第13病日に広背筋弁作成部に皮下水腫を形成したため、アスピレーションカテーテルを留置した。排液の塗抹でGram陽性球菌を認めたため、cefazolin sodiumを追加し、その後はitraconazole内服に変更し、術後第27病日に軽快退院となった。術後6ヵ月の現在、再発なく経過良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016