臨床経験
術前気管支原性脂肪腫が疑われたlipomatous hamartoma
渡辺 光
1
,
金内 直樹
,
渡辺 勇
,
濱田 顕
1山形県・酒田市病院機構日本海総合病院 呼吸器外科
キーワード:
過誤腫
,
気管支鏡法
,
気管支腫瘍
,
脂肪腫
,
鑑別診断
,
肺疾患
,
肺切除
,
陽電子放射型断層撮影
,
マルチモーダルイメージング
,
胸部CT
Keyword:
Bronchial Neoplasms
,
Bronchoscopy
,
Diagnosis, Differential
,
Hamartoma
,
Lipoma
,
Lung Diseases
,
Pneumonectomy
,
Positron-Emission Tomography
,
Multimodal Imaging
pp.1004-1007
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016009595
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61歳男。咳嗽を主訴に近医受診し、胸部X線で左中肺野に異常陰影を認められ、当院に紹介された。胸部CTで、左B4を閉塞する最大径42mmの腫瘤を認めた。CT値は平均-98であり、脂肪成分を主体とする腫瘍内部には一部石灰化を認めた。気管支鏡検査では、左B4気管支内腔を閉塞し、舌区支に突出する表面平滑な腫瘤性病変を認めた。同部の生検では正常脂肪組織のみであり、悪性所見は認めなかった。これらより「気管支原性脂肪腫の疑い」と診断し、閉塞性肺炎のリスクを伴う病態と判断されたため、胸腔鏡下に左上葉切除術を施行した。切除標本の病理組織所見は、HE染色で腫瘍は脂肪組織・軟骨・骨・気管支上皮からなる肺過誤腫の性格を示し、明らかな異型細胞は存在しなかった。また、腫瘍組織は主に成熟した脂肪組織が増生していたことから、lipomatous hamartomaと診断した。
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