臨床経験
重症心不全に陥った拡張型心筋症に対して有効であった冠状動脈バイパス術および両室ペーシング
寺谷 裕充
1
,
藤松 利浩
,
鈴木 博之
,
田代 忠
1北斗病院北斗ハートセンター 心臓血管外科
キーワード:
脚ブロック
,
胸部X線診断
,
心筋症-拡張型
,
心電図
,
心不全
,
冠状動脈バイパス術
,
胸骨切開術
,
心臓再同期療法
Keyword:
Coronary Artery Bypass
,
Bundle-Branch Block
,
Cardiomyopathy, Dilated
,
Electrocardiography
,
Heart Failure
,
Radiography, Thoracic
,
Sternotomy
,
Cardiac Resynchronization Therapy
pp.748-751
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015395168
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57歳男。呼吸苦が出現し、拡張型心筋症および冠状動脈狭搾の診断で内科治療を開始したものの通院が途切れ、約1年後に労作時胸部圧迫感が出現し再受診された。内科治療を再開するも症状改善なく、左前下行枝(LAD)の狭窄病変の進行を認め、LDAへの冠動脈バイパス手術(CABG)、完全左脚ブロックを呈する低心機能に対し両室ペーシング(CRT)を行うこととした。入院時、NYHA分類IV度で、左室駆出率は15%以下と著明に低下し、QRS幅が174msと延長していた。術前の冠状動脈造影では新たな右冠状動脈病変を考慮すると3枝病変(#6・#7・#11・#12・#4PD)であったが、低心機能であり手術時間を短縮させる目的でLADのみのCABGを選択した。残存病変については経過次第でカテーテルによる追加治療が可能と判断した。CABGとCRTの同時手術を施行し、術後心不全症状および運動耐容能の著明な改善、左室径および容積の減少、心収縮能の改善を認めた。また、BNP、NT-proBNPの改善も認めた。
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