臨床経験
梅毒性多発大動脈瘤に対するハイブリッド手術
島 正太郎
1
,
岡村 賢一
,
森住 誠
,
河田 光弘
,
末松 義弘
1筑波記念病院 心臓血管外科
キーワード:
Penicillin G
,
胸部X線診断
,
再手術
,
大動脈瘤
,
X線CT
,
梅毒血清反応
,
梅毒-心臓血管系
,
大動脈置換術
,
ステントグラフト内挿術
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Penicillin G
,
Reoperation
,
Radiography, Thoracic
,
Syphilis Serodiagnosis
,
Syphilis, Cardiovascular
,
Tomography, X-Ray Computed
pp.426-430
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015363215
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69歳男。発熱、食欲不振を主訴に前医を受診し、上気道炎として抗生物質を処方されたが改善しなかった。再診したところCRPが高値で、胸腹部CTにて感染性大動脈瘤を疑われ入院となった。入院後はMEPM投与にて発熱、CRP値は改善したが、動脈瘤が拡大傾向にあったため、手術目的で当科紹介入院となった。入院時、梅毒反応はRPR、TPHA、FTAいずれも陽性であり、術前CTでは胸部の遠位弓部大動脈に巨大な嚢状瘤を認め、下行大動脈から腹部大動脈、右総腸骨動脈と左鎖骨下動脈起始部にも嚢状瘤が多発していた。以上より、梅毒性多発大動脈瘤と診断し、ステントグラフト内挿術と従来の人工血管置換術を組み合わせたハイブリッド手術による早期の分割手術を施行した。術前よりペニシリンG投与を行い、梅毒反応ではTPHAは改善しなかったが、RPRは術後第3病日に陰性化した。術後2ヵ月で感染の再燃は認めない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015